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2014年9月23日 (火)

ツタンカーメンの呪いと安藤美姫バッシング

「ツタンカーメンの呪い」
1920年代、考古学者率いる発掘隊がエジプトの若きファラオ(王)の墓を発見した。

盗掘されていないファラオの墓が発見されたのは初めてであり、世界中がこれに熱狂した。
墓の中には、あらゆる宝物(ほうもつ)が収められていて、そして、最大の宝物がファラオの「黄金のマスク」だった。

しかし、それと共に話題となったのが、
墓の発掘関係者である20数名が、次々と謎の死を遂げた・・・、という怪事件だ。

世間ではこれを「ツタンカーメンの呪い」と言う。

ファラオの墓を荒らす者は、いずれ死を迎える。
そう世界中の人が思い知らされた事件だった。

発掘隊のリーダーは、考古学者ハワード・カーターと、スポンサーであるカーナーヴォン伯爵だった。
1922年11月、ツタンカーメンの墓が発見され、彼らは一躍時の人と成った。
次々と新発見が報じられ、世界中が熱狂した。
そして、ツタンカーメンの棺が置かれた部屋の調査が始まった途端に呪いは始まった。
カーナーヴォン伯爵が、まず呪いの第一の犠牲者と成った。
敗血症に掛かり病死した。
病死ではあるものの、その最期が実に奇妙だったため、話題となった。
うなされながら、奇妙な言葉を発し、部屋の明かりが消えたという。そして明かりが点いた時、カーナヴォン卿は死んでいた。

その後、
カーナヴォン卿の弟が死に、
調査隊のX線技師が死に、
ハワード・カーターの秘書が死に、
発掘隊メンバーなどが次々と死を迎え、
最終的には、20名を超える死者が出た。

この呪いは、
「古代の神々を介した呪術的な呪いだ」、
「墳墓の墓荒らし対策の為の毒だ」、
「墓の内部が数千年間密閉された故の自然の毒ガスが原因だ」、
「権威や権利にまつわる陰謀説」
など、あらゆる説が持ち上がった。

そしてこの流れは1930年まで続く。

 

さて、このツタンカーメンにまつわる話、
実は、日本でも似たようなことが起こっている。
それも最近だ。

それは、
「安藤美姫バッシング」だ。
何が似てるのかって?

その説明は後にして、
まずはバッシングの概要です。

彼女への一番大きなバッシングは、やはり出産関連だろう。
未婚の出産で、父親を明かさない。
そして現役続行の意思を示したことで更にバッシングは加熱。

フィギアのトップ選手というものは、スポンサーは付いているものの、基本的にはアマチュアスポーツであり、例え出産の後に現役続行しようと、そこまでバッシングを受ける筋合いのものではない。

ではなぜ、彼女はここまでバッシングされなければいけないのか。
それは、彼女の今までの「世間からの嫌われ様」が関係している。

「性格が悪い」
「素行が悪い」
「わがまま」など、
そういう報道や情報が飛び交い、
世間の「へ~、そういう人なんだ・・・」という意識的な下地が、出産報道と共に爆発した形となった。

 

 

 

さて、
「ツタンカーメンの呪い」についてですが、
ここで、真偽のほどを説いてみたいと思います。

まず、第一の犠牲者とされるカーナヴォン卿ですが、
実は彼は、これまでにも大きな手術を2回も行い、そして高齢であり、健康とは程遠い状態だった。こういうのもなんですが、「いつ他界してもおかしくない」という状態だった。
これが、たまたま発掘作業中に亡くなっただけと言える。
ではなぜ、これが「呪い」だの「祟り」だのと言われるようになったのか。

実は、これはメディアが大きく関わっていた。

「呪いの死」の報道が収まって数年後、
ニューヨークのメトロポリタン美術館の館長ハーバート・ウィンロックは、この件に関して、中立な立場として調査を行った。そしてその結果「呪い」の存在を否定した。1934年のことです。

・最初の王墓発見時、発掘に関わっていたのは40名ほど居たが、亡くなったのはカーナヴォン卿ただ1人。呪いとは程遠い。
・財宝が置いてある前室に入ったのは22名だが、そのうちカーナヴォン卿を含めて5人が亡くなった。王の棺を開けた時に関わった時、カーナヴォン卿は既に他界していて、そして作業には22名が関わった。そのうち2名が亡くなった。これは多いと感じるかもしれないが、実は死亡した人の多くが、高齢だったり、病気を患っている人が多かった。
・もっとも呪いに掛かりそうな「包帯を解いてミイラを暴く作業」には10名関わったが、全員健在(1934年当時まで)。
・実は、呪いで死んだとされる人の半数は、調査団とはつながりの薄い人物だった。一緒に食事をしただけ・・・とか。
・発掘とは全く関係無い殺人事件の犠牲者までカウントされていた。

ではなぜ、呪いと絡めたこの様な報道が広まったのか。
実は、「呪いの報道」を行っていたのは、イギリスの多くの新聞社だった。
それも、ロンドン・タイムス以外の新聞社です。

ツタンカーメンの墓を発見した当時、カーナヴォン卿の親戚筋がオーナーだったロンドン・タイムスに、独占記事を書かせていた。
それに腹を立てた他のイギリスの新聞社たちは、カーナヴォン卿に対して良い感情を持ち合わせてはいなかった。
そんな時に、彼が死んだ。
そこで多くの新聞社たちが「呪いだ」と叫び始めたんです。

つまり、記事を書かせてもらえなかったから腹いせに”面白い記事”、”売れそうなテキトウな記事”を書いたに過ぎなかった。
そして、それがまことしやかに全世界に広まって、「呪い」は「真実」として知れ渡ってしまった。

「ツタンカーメンの呪い」というのは、つまり、記事を書く記者が「せっかくのオイシイ事件なのに甘い汁を吸わせてもらえなかった」という悔しさや嫉妬心からくる、そういうエネルギー源から発せられた嘘だったわけだ。

 

 

 

安藤美姫について、実は面白い「報道の流れ」がある。

安藤美姫は、高校生時代に、既に4回転ジャンプを成功させ、フィギア界で一躍「時の人」となった。
容姿が派手で、そして同時期に流行っていた「コギャル」だの「女子高生ブーム」だのに重ねられ、メディアはその線で安藤美姫を追い続けた。
フィギアの選手としてではなく、「ギャル選手」として。

メディアは、安藤美姫のその容姿から、勝手に「ギャルの線」で取材をする。
しかし、とうの彼女は、ギャルではなく、ストイックに「スケート選手」として生活を送り、そして学校生活では、普通に「女子高生」だった。

メディアは、学校生活や、私生活に密着取材をしたり、大よそフィギアとは関係無い取材が続いた。

これが安藤美姫の高校生時代の経験だった。

当然、安藤美姫はそんなメディアを嫌うようになり、
信頼できるスポーツメディア以外は、取材に非協力的になる。

すると、メディアはどう動くか。
つまりこれが「安藤美姫の悪い噂」の発信源となるわけです。
これが「世間の安藤美姫への見方」の根源を作ってしまう原因と成った訳です。

「あっちの取材陣には協力的で、俺たちには非協力的だ、ムカつく」
などの感情が、メディアに広がる訳です。
その原因を自分たちで作っておきながら、理不尽にそういう思考となるわけです。メディアってやつは。

取材協力を拒否されたメディアは、
「メシの種にならない取材対象は、落としてメシの種を作るべし」
と言うことになる。

そして、
「取材に協力してくれない」→「わがまま」
というレッテルを貼られる。
これは本来は、「彼女の私生活がわがまま」なのではなく、「彼女がメディアのわがままを聞いてくれない」ってだけのはずなのに、メディア側は「彼女=わがまま」というていで報道をしてしまう。故意であったり、にじみ出るものだったり。

また、フィギアとは関係無い取材にもそれなりに協力的だった浅田真央などの存在とも比べられてしまったのが、運が悪かったかもしれない。
浅田真央は周囲の理不尽さを受け入れてしまう癖があるように思う。メディアによっては都合がいいけれど・・・。

まぁ、これが、10年以上続き、
安藤美姫は、確固たるレッテルが張られてしまったわけだ。
そして、そんな彼女が「未婚の母」だのの報道があったら、そりゃ世間はバッシングする訳ですよ。

「未婚の母」というのは褒められた存在ではないのかもしれなけれど、
そこまでバッシングされるべき事じゃない。
世の有名人が全て「お手本となるような家庭」を築いている訳じゃない。

なぜ、安藤美姫だけはバッシングされるのか。
それは、彼女が嫌われているから。

なぜ彼女は嫌われているのか。
それは、彼女がメディアに嫌われているから。

彼女が取材に非協力的だから。
それは、彼女がメディア嫌いだから。

彼女のメディア嫌いは、メディアが悪いのであり、
そして、彼女の悪い噂も、メディアが作り上げて広めたもの。

 

 

 

 

私は思うのです。
「ツタンカーメンの呪い」も、
「安藤美姫のバッシング」も、
全ては、メディアによる仕返しや嫉妬心から生まれたもの。

メディアが作り上げる幻想という共通点、
これを感じたとき、
ある種の怒りも感じるわけです。

ツタンカーメンの方は、もしかしたらカーナヴォン卿が悪いのかもしれないが、
私が思うに、安藤美姫の方は、彼女は悪くない。

彼女へのバッシングを見るたびに私は思うんです。
安藤美姫よ頑張れ!と。

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