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2012年10月23日 (火)

ブラックメタルの悪魔崇拝による主張

Mayhem_b07_s

「ブラックメタル」という音楽のジャンルをご存じだろうか。

「デスメタル」や「ハードロック」などは有名だが、「ブラックメタル」というジャンルはあまり知られていないと思う。

この「ブラックメタル」、恐ろしくもあり、しかしなぜか私は共感もしてしまう、何とも言えない存在だ。

 

私は最近、「TOKYO MX」という地上波テレビ局が放送している「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」という番組を毎週見ている。現在は再放送となっていて、本放送は2年前だったらしい。

この番組で少し前に「UNTIL THE LIGHT TAKES US」というドキュメンタリー映画についてを放送していた。
このドキュメンタリーは、ノルウェーで生まれた「ブラックメタル」の、そのメンバーや取り巻きによる殺人事件、黒魔術、教会放火、それら社会現象になったイデオロギーを記録した話となっている。

 

世にエルビス・プレスリーが誕生して「ロックンロール」が花開き、そしてザ・ビートルズによってそのロックは世界を圧巻した。ビートルズはロックに自分たちの哲学を乗せて歌った。

そのうちロックの中にもジャンルが生まれた。「ロック(岩)」から「ハードロック(硬い岩)」が生まれ、さらに重くて硬い「ヘヴィメタル 」が生まれた。そしてそのメタルミュージックに乗せて死や地獄をイメージさせる「デスメタル」が生まれ、そしてさらに異色を放ったのが、北欧に誕生した「ブラックメタル」だった。

ロックには哲学があり、ヘヴィメタルには美学があり、デスメタルには社会ストレスに関する青年の主張があった。
そしてブラックメタルは、アンダーグラウンドな思想があった。

 

ブラックメタル」の主張というのは、簡単に言えば「悪魔崇拝」だった。

「悪魔」という存在は、キリスト教徒にとっては恐怖の存在であり、神である「ゼウス」と対をなす存在として扱われる。つまり、ブラックメタルの主張は、「悪魔崇拝」と同時に「キリスト教の否定」ということに成る。

 

キリスト教は、ローマ帝国の文化が北上すると共にヨーロッパ大陸全体へと広まった。それまでヨーロッパにはそれぞれの地域に土着の宗教があり確立していた。それらを否定する形でキリスト教は広まっていった。街の中心にキリスト教の教会を建て、そして土着宗教の施設は例えば森に追いやられた。

実は、キリスト教において「悪魔」とは、「キリスト教以外の神」の事を言う。つまり森に追いやられた土着宗教の神こそキリスト教の中で言う「悪魔」なのだ。
つまり、「仏(ブッタ)」や「天照大神」などは、実はキリスト教徒にとっては「悪魔」なのだ。
ちなみに、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はもともと同じ宗教だった為、これらの「神」は同じ「神」として扱われる。

「魔女」という存在を思い浮かべてみましょう。森の中の薄暗い場所で、壺の中で何やら怪しい物を煮込んで棒でかき回す。水晶玉を扱っているかもしれないし、魔法陣を描いているかもしれない。
実はこれは、キリスト教に追いやられた土着の宗教の形であり、例えば煮込んでいるものは病気を治す薬であったりするのだ。これに対してキリスト教は、「野蛮」や「怖い」などのイメージを植え付けて遠ざけた。
例えば科学的と感じられない民間療法を行った者は「魔女」とされ「魔女狩り」が行われた時代もあった。

 

ノルウェーにはかつて土着の宗教があった。
つまり「北欧神話」の世界だ。

北欧神話は、例えば「日本神話」に酷似していたりする。万物に精霊が宿ったり、多くの神々が存在したり。日本人が特に北欧神話に親しみを感じるのはこの類似点からかもしれない。
しかしそれらの宗教や世界観はキリスト教に否定され葬り去られた。

「ブラックメタル」は、そんなノルウェーの地で誕生した。

ブラックメタルは、キリスト教を否定し、土着の神を掲げた。つまりその「土着の神」こそキリスト教でいう「悪魔」であり、「悪魔崇拝」と言うことに成る。
ブラックメタルの主張は「民族主義」の思想に近いのかもしれない。自分たちのルーツや文化を良しとして、キリスト教による強引な文化改造を悪とする。そんな思想だ。

この思想は、メタルによる美の旋律によって、ファンたちを酔わせ、次第に宗教的に狂暴化し、殺人事件や教会放火事件などを引き起こしていく。

数百年の歴史を持つ教会などが焼き討ちに合い、文化的建造物の焼失にショックを受ける多くの人々の叫びも解るかもしれない。しかし、私はブラックメタルの主張にも共感し、その思想を元にするならば、教会なんて焼けても惜しくない・・・とさえ感じてしまう。

犯罪を犯したり・・・ってのは嫌な部分だが、私はどうもブラックメタルの主張に関して共感してしまう。土着の文化を否定するキリスト教に対して私も以前から疑問を持っていたからだ。「キリスト教による文化の否定」はそのまま「侵略文化」となり「植民地政策」への歴史を生んだ。漠然とはしているものの私の中でそういうベクトルの流れを感じ、それ故にキリスト教が好きになれないでいる。

 

ロックの系譜に位置する音楽家の多くは、ビートルズに倣って、自分たちの哲学や主張を織り交ぜる。多くの場合は社会への不満や矛盾を歌いそして分かち合う。
ブラックメタルもその例に倣って社会の矛盾の根源が何なのかを哲学して、そして行き着いた先が土着愛に満ちた悪魔崇拝だったわけだ。

事件が起こった時期、中心的だったバンド「メイヘム」のメンバーは、殺害されたり、刑務所に入ったりで離散してはいるものの、現在でもバンドとしては存在している。上の写真は、2008年のメイヘムのライブの様子だ。

 

私、実は最近ヘビメタがちょっと好きなんですよ。

ちなみに北欧では全体的にメタル音楽が大人気で、特にフィンランドはヘヴィメタルの人気が世界一で、ヘヴィメタルの祭典も多く開かれているらしい。
フィンランドのメタルバンドでは、私はこのチュリサスというバンドが好きです。「世界番付」っていう番組を見て好きになりました。歌詞は解りません。音楽性が好きです。
チュリサスはフィンランドで大人気のバンドらしいです。

↑このCDジャケットみて解りますでしょうか。
チュリサスは、「バイキング・メタル」という部類にも分けられます。ヘヴィメタルの一つで、「北欧神話」を模したり、もしくはかつての北欧の自慢である「バイキング」を模したりしています。

ブラックメタルとは主張方法は違えど、やっぱり「自らの文化に誇りを」という信念が見て解ります。
ブラックメタルは、他者を否定する。主に異文化(キリスト教)を否定する。
バイキングメタルは、自分たちを肯定する。主に自分たちの文化の栄光を想い士気を奮い立たせる。

↓この曲は特にカッコイイ!!

 

 

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これはスゴイ番組を見つけてしまった!もっとはやく気付いていれば・・・悔やまれる。 「松嶋×町山未 公開映画を観るTV」 現在、TOKYO MX で23時30分から24時30分まで放送中!アメリカで作られた日本未公開のドキュメンタリーを放送する番組。2週間前に気づいて録画し始...... [続きを読む]

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