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2010年12月22日 (水)

東京都青少年健全育成条例改正に関する事

東京都青少年の健全な育成に関する条例

この条例に関する改正が、昨今ニュースと成っている。
そして改正案は可決され、改正される事となった。

私はこの改正に対して思う事がある。

出版業界の多くがこの条例改正に対して反対している。そして私もこの改正には問題があると考えている。

2月に出された改正案の「非実在青少年」については、まぁ置いておき、私が問題視したいのは、11月に出され12月に可決した改正案の方です。以下がその改正文章です。

一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。

二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。

この条例の何が問題なのか。

 

刑罰法規に触れる性交、又は性交類似行為
近親者間における性交、又は性交類似行為

刑罰に触れる性交とは、つまり、淫行強姦を描いちゃダメという事。
性交類似行為とは、つまり、フェラチオアナルセックスの事。
(言いたい事が有るならハッキリそう書けば良いのに)

表面的に見れば、この改正はとても健全なものとして写るだろう。
 「犯罪的な性描写は子供に見せたくない」
 「現状で子供の目に届きやすい場所にある」
 「規制すべきだ」
そう唱えるのも当然の意見となるでしょう。

 

しかし、
多くの有識者がこの改正に異議を唱えている。

この改正の何が問題なのか。
それはつまり、
  憲法で保障された「表現の自由」の根幹に響く規制である
という事につきる。

 

「エロは別だ」と考える人は・・・、まぁ最後まで読んでくださいよ。

 
例えそれがエロ表現であっても、それを行政が内容を取り締まることは許されない。行政が行うべきだったのは、「業界への自主規制への促し」としての行政指導までであり、内容の制限を明文化して法で取り締まるというのは、大きな間違いとなる。

つまり、「条例で縛るのではなく、自主規制で取り締まるべき事柄」なのです。

では、
なぜ、法での取り締まりが許されないのか。
なぜ、自主規制なら良いのか。

それは、エロに係わらず「表現の自由」というものは、国民一人一人が個々に持っている「権利」であり、人の権利は自らが放棄しない限り継続されなくてはいけない。それは例え法律や条例であろうと侵害してはいけない。法律の上の存在である憲法で保障されている事柄だからだ。
そして、メディアという表現の場において「権利の放棄」の方法というのが「自主規制」であり、日本国憲法のもとでの正しい業界規制の流れとなる。

行政のことをしばしば「お上」と言う場合があるが、勘違いしてはいけない。
行政も、出版業界も、憲法のもとでは上も下も無い。単なる個別の存在に過ぎない。つまり、出版業界の権利を、別の業界の存在(行政など)が侵害することは許されない。

 

「でも、犯罪的なんだから取り締まるべきだ!」
「自主規制する流れが遅すぎる!」
「一気に法で縛るべきだ!」

そういう意見も有るだろう。

しかし、歴史を少しでも理解した事のある人ならば、これが悪しき歴史のトレースと成ってしまうことに気付くでしょう。

 

マスメディアが初めて世に誕生したのは紀元前1世紀の凸版印刷による新聞だ。

そして、そこから政治家と出版との戦いは始まった。
「言論」や「表現」において、最初は常に「エロ」や「暴力」に対する「社会を汚すな・・・」みたいな意見から規制が始まり、それが発展して「政治的言論統制」までに至る。
不思議に思うかもしれないが、これは、どんな時代、どんな地域においても、なぜか「エロ」から「言論統制」に流れが移行し、その後に起こることは「強行的な独裁政治」であったり、「戦争」であったり、つまりは「平和とは反対の社会」への引き金と成ってしまう。「エロ」などの規制が引き金となる。

西洋の中世、歴代中国の帝国、日本の江戸~昭和。

そして人類は現代に入り、やっと「表現の自由」や「言論の自由」が平和を促す・・・という社会の仕組みが理解して、世界各国の憲法にも採用され始めた。

今現在、「言論統制」が成されている国々を見て、どう思いますか?
身近なところでは中国、北朝鮮などですね。
果たして平和な存在でしょうかね。

 

東京都に限らず、日本の各都道府県には、

青少年保護育成条例 が存在し、それに伴って有害図書 の指定が成されている。

これは、行政が基準を決めて行っている規制ではなく、出版業界が条例の流れに沿って自主的に基準を決めて、区別し、規制している。つまり自主規制です。
出版業界には、このような流れがここ10年20年で育っており、この業界の自浄能力は発展している最中でした。

そして、起こったのが今回の東京都の条例改正騒動です。

改正された条例には「図書類等の販売及び興行の自主規制」という題名が付いている。つまり、都議会の主張は「自主規制を促す条例なんだ」ということになる。しかしその下の文言では、規制内容の種類を具体的に示しており、実質的に、規制の基準を行政が決めていることになる。

つまりは、これがいけない。

自主規制の強化を促したいなら、既存の条例のまま、行政指導を行えば良いだけだったんだ。出版業界には自主規制を行う基盤だってしっかりとある。それに対して行政指導を行えば良かっただけに過ぎない。

具体的に言うならば、今問題と成っている現状というのは、
 ・エロ表現された漫画が存在する。
 ・その存在は決して違法ではない。
 ・その本は販売形態において一般的な本とは隔離されている。
 ・子供が買えないようにしている。
 ・しかし、まだまだ子供の目に届きやすい場所にあり、書店での隔離が甘い。

つまり、エロビデオ並・・・かどうかは知らないが、「もっと隔離すべきだ!」というのがPTAなどを代表する世の意見であり、出版業界の自主規制強化だけで充分に行えること。

なのに、
東京都議会はなぜ条例改正までして、取り締まりたかったのか。それはつまり、強行政治の好きな石原慎太郎あたりの政治家の意向。早急に劇的に社会を変えるには、強行な政治、独裁的な政治がもってこいですからね。

 

図書への規制。
これが、どんなに重大な社会への脅威へとなりえるか、その可能性について、どれほどの人が実感しているのか。
たぶんね、石原慎太郎は知ってますよ。彼は戦前の様な強行政治が理想ですからね。

そして、たぶんね、
PTAの奥さん連中は知りませんよ。
憲法の根幹に響く内容だなんてね。
「こんなヒドイ漫画が我が子の目に・・・」とか、表面的な嫌悪や善悪でしか物事を判断してないでしょうからね。

あ~あ、日本はどうなるんだろう。

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