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2010年5月21日 (金)

ギリシャ不安から思う事

私は一貫して、経済のグローバル化というものに対して異を唱えています。

ヨーロッパがあの巨大な地域全体をカバーする経済共同体を作ると言う事は、アメリカや中国などの巨大な存在に対抗するべくして起こした政策と言えるでしょう。つまり、グローバル化の途中形態です。

私がどうして経済のグローバル化を反対しているかと言うと、それは「経済の根本を無視した強者利益主義の方策」だからです。

 

グローバル化はそもそも、民間レベルで始まったことを各国政府が推し進める形で発展してきた。世界的に名を成した企業はそのまま世界中に進出し、その経済力から各国政府を動かし、それら勝ち組企業がなお発展する流れを加速させる。

一般的に言われる経済のグローバル化というのは、「物流が自由に成る」とか「世界と商売しやすくなる」とか言うけれど、結局何が今までと違うかと言うと、それは「関税の有無」です。それぞれの国や地域が設定する関税を取り払う事で、国際的な商品の流れが活発に成ると言う流れ。

関税のある社会では、何か安い商品をさがす場合、例えば日本では日本国内だけで探して最安値を追い求める。しかし、関税の無い社会では国や地域の区別は一切なくなる。日本で安いものが無ければ中国や東南アジアから探してくる。このようなミクロ経済が、そのまま集まってマクロ経済まで続いていく。

 

一つ確認しておきたいのは、「関税の意義」です。
関税とは、海外の安い製品によって、国内の産業が打撃を受けないように、海外の製品に税金を掛けて、国内商品の相場と同等の値段に成るように設定する・・・という意味がある。

社会にはあらゆる産業が存在し、その全ては一つの国家や地域社会の中に全て有ってこそ、健全な経済が成り立っていく。安定した社会が存在し得る。つまり、社会のあらゆる産業は、それぞれの国家が全て守るべき存在と言う事になる。それ故に、その一部が崩壊しないように、国際社会は「関税」というものを発明したわけです。

一方で、地理的な条件が理由で、例えばアメリカ、中国、フランスなどでは農業効率が高く、日本では農業効率が低い。これは雲の少ない日照量の多い地域に灌漑を行って大規模に農業を行う現在の世界の主流からくる問題ですが、これに日本が現状で追いつくことは難しい。
これが理由で日本は食糧自給率の低下を招いている。そして日本人の心たるコメに関しては関税をキッチリと設定して、国内の米産業だけは守っている。

かつて、対アメリカ貿易摩擦の問題で、「牛肉オレンジ問題」と言うのが有った。貿易不均衡の打開策として、アメリカが日本に「牛肉とオレンジの関税を無くせ」と圧力を掛けてく他問題です。そして結局日本は牛肉とオレンジの関税を撤廃し、それ以来、日本人は安い牛肉をたくさん食べられるようになった。それまでは牛肉ってのは高級だったんですけどね。

経済と言うのは、地域ごとに得手不得手がある。
そして、その条件に係わらず、一つの社会には大抵の業種が必要であり、各地域ごとにそれは守られるべきものである。それがなされて社会は安定する。

 

今回のギリシャ問題で思ったこと。
それは、通貨統一の矛盾についてです。
通貨とは、その国の政府や社会の単位で、調整がなされながら社会を維持する一つの道具です。そしてその道具をユーロの様に共有化した時、イチ地域の不具合に対応するために、全体が不安定に成っていく。

通過のグローバル化の矛盾を実感しながら、やはり経済や政治、社会と言うものは各地域ごとに区切りながら行っていくことが大事なのではと、私は思う訳です。

かつて日本は鎖国をして、外国との経済的つながりを最小限に抑えてきた。これによって自然条件や社会条件がほとんど同じ、日本列島というイチ地域の中で安定した社会を構成することに成功した。もし鎖国を行っていなかったら、もし自由な経済的つながりを西洋などと成していたならば、他の東南アジア諸国と同じように、日本は社会経済が破壊され、植民地への道をたどっていたのかもしれない。

ギリシャ問題の発端だって同じようなものです。
フランスやドイツと比べたら国力は段違いに小さいギリシャ。それでも同じ経済圏として維持するにはあらゆる無理を行わなければならない。そしてそれが原因で財政赤字、そして粉飾。

同じ文化圏だからと言って、同じ経済圏に入れて良いという考えは、根本から間違っていた訳だ。EUみたいな考えで言うならば、日本と中国だって同じ文化圏と言えるかもしれない。でも通貨を共通化するなんてことは有り得ない。経済的条件が全く違う国だからだ。

ヨーロッパ人というのは、自分たちの文化を自負し、そして自分たちの文化こそ一番成功した文化であり正しい社会。世界中がヨーロッパ社会の真似をすればいいのに・・・。と考えている節がある。一神教文化のなせる考えです。
私はそれに対してね、多神教文化的な経済観念をぶつけたいですよ。つまり、地域ごとに正しい社会の形は違う・・・と。経済においても世界は一つに成る必要はない。関税という壁、通貨と言う壁を作ってこそ、それぞれの社会が守られ、世界の平和へと繋がっていくものなのだと思います。

 

「宇宙から見たら国境なんて無いんだ」みたいな平和主義的な言葉があるけれど、私から言わせれば、それは言葉の綾が生みだした戯言です。
国境は必要なんです。
交流は有っても良いです。
でも、そこには秩序ある関税と為替による経済的な壁が必要です。そしてそれを維持する為の国境というものは、必要不可欠なんだと私は考えますよ。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

Snowさん、はじめまして。

人にしろ国にしろ、それぞれ個性というものがあるのだから、
互いの違いを理解し、尊重していくことが大事なのですね。

その違いを無視してまで、EUの様にヨーロッパ全ての国家でユーロ統一化してしまうと、
必ずどこかの国にガタが来て、それをカバーする為に全体が不安定になってしまうのですね。

それぞれの国に関税を設け、国ごとにあった条件・産業で
経済を発展させていく事が、世界全体の安定に繋がっていくのだなと思いました。

投稿: よたろう | 2010年6月25日 (金) 00:20

アマゾンで検索してください。日本の農業生産額は世界5位です。

『日本は世界5位の農業大国大嘘だらけの食料自給率』
(著:浅川芳裕/講談社)

関税はないほうがいいかもしれません

投稿: ななし | 2010年8月19日 (木) 22:10

>ななしさん
「日本が良ければ世界全体の社会の事なんでどうでもいい」という考えであるならば、農業のことを考えるまでも無く、貿易黒字を何十年も続ける日本はとうぜん関税なんて無い方が「得」ですよ。
私はそんな低次元な話をしているのではありません。


そんな本は読んでいないけれど、食糧自給率のカラクリってのはアレでしょ。家畜の飼料の計算がどうとか。カロリーベース計算がどうとか。廃棄の分がどうとか。それって自給率の計算方法の表面を見ただけの話であり、本質を理解していない話ですね。けっこうそういう批判て流行ってますけど、そういう本じゃないですか?

それに「農業生産額は世界5位」ですか。「額」ですか。そりゃ日本はデカイですよ。飼料の計算を考慮したとしても40%も作っている。その分を額で計算すれば日本は円高ですからね。ドル建てとかにすれば物価が高いですからね。その数字はつまんないですよ。

投稿: Snow | 2010年8月19日 (木) 22:58

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