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2008年9月11日 (木)

「偽善エコロジー」について 1-6 「CO2削減の是非」

「偽善エコロジー」
武田邦彦が書いた環境問題ネタの本だ。

武田邦彦は、「温暖化はCO2削減努力では防げない」と主張する。

そうです。
珍しく私も同意見です。
特に「京都議定書」で定められている6%や8%の削減だけで、温暖化に対して何の効果が有るってものでもありません。まさに「焼け石に水」です。
以前の私のブログ記事「これでいいのか!温暖化対策」でも同じような内容を書いた事があります。

しかし、この項目で彼がちょっと言ってる、「温暖化したら日本で農作物が育ちやすくなる・・・朗報だ。」とかいう非科学的な論調は私は共感できません。
この人は、こういうテキトウなことを言ってしまうから嫌いです。

彼は、「削減は焼け石に水なんだからやっても無駄。やらないほうが良い。」という内容でこの項目を語っている。しかし私はそうは思いません。確かに今の世界的なCO2政策では焼け石に水であり、続けても無駄なレベルです。しかしこれは温暖化対策としての単なる「試金石」なんてす。「一里塚」と言ってもいい。「第一歩」です。

彼はまたこの項目でこんな事を言う。
「そのうちには、石油や石炭がなくなっていきますから、温暖化はおさまっていくでしょう。ですからそれまでじっと待っていればいいんです。台風が過ぎ去るのを待つように。」
地球温暖化だけを意識したとしてもこれは間違った見解だし、地球温暖化の問題以外を考慮した時、この考えはもう小学生以下の意見とも言えるレベルの論調だ。

もし、100年後に化石燃料を全て使い切り、CO2排出が完全にゼロに成ったとしたら。するとそれは台風が過ぎ去ったかのように、台風一過のように、次の日には穏やかな日々が訪れるのでしょうか。そんな事はありません。CO2濃度というのは、CO2排出が止まった後もずっと、そのままの状態が続いていくんです。徐々には減っていきますけどね。産業革命以前の大気中のCO2濃度は280ppmでした。そして現在は380ppmです。今、急にCO2の排出を完全に止めたとして、濃度が明日から急にまた280ppmに戻る訳ではないんです。昨今問題と成っている異常気象が今後も続いていくんです。地球の大気の熱量の増加は、大気の状態を不安定にし、気流の動きを二極化し、乾燥と豪雨の差を開かせる上体と成ります。100年後には確実に今の気候からは想像も付かないような悪い方向への変化が訪れているでしょう。そしてそれは101年後であっても、CO2排出が止まった後になっても、数百年は少なくとも続いていくことでしょう。
これは熱の「慣性」の性質を用いても言えることだし、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告を参照してもそれは語られている。
温暖化というのは「じっとしてればおさまる」と言うような問題じゃないんです。

※ 下記コメント欄にて指摘を受けたのでとりあえず以下の図3点を追加します。十分に納得されるのかは解かりませんが。
Co2_01
図.1 2000年を境に、現状維持(黒線)から-100%までのCO2排出量を仮定したときの大気中CO2濃度の推移シミュレーションです。縦軸は2000年を基準にした相対比値です。(IPCC四次報告 ar4-wg1-chapter10.pdf より)

Co2_02
図.2 2100年にCO2排出を完全停止した場合のCO2排出積算量(左)とその後の濃度の推移(右)です。(IPCC四次報告 ar4-wg1-chapter10.pdf より)

Co2_03
図.3 上記の図.2に基づくグラフで、気温の推移(左)と海水面の高さの推移(右)です。 海水面の高さについては水の熱膨張だけを考慮された値であり、極地の解氷による上昇分は考慮されていません。(IPCC四次報告 ar4-wg1-chapter10.pdf より)

IPCC - IPCC Reports
UVIC : カナダ ビクトリア大学
LOVECLIM : イギリス ロンドン大学
MIT-IGSM2.3 : アメリカ マサチューセッツ工科大学
BERN2.5CC : スイス ベルン大学

 

そして、温暖化問題以外を考慮した話ですが、それはエネルギー問題です。
「石油が有るうちにCO2削減を試みる」ということは、「エネルギーが有るうちに石油に頼らない社会を構築する」ということと同じ意義のものです。CO2排出を抑えるということは、必然的に自然エネルギーの技術を磨く事にベクトルが置かれる訳で、これはとても有意義な事です。
彼は「京都議定書に熱心なのは日本くらいだ」と言っています。(・・・そんな事は無いんですけど何を持ってそれを言っているのでしょう。)・・・もしそうだとしてもそれで良いじゃないですか。それだけ日本の技術が磨かれるってものです。今がちょっと厳しいだけ。今が厳しい事に耐えられない人はアメリカで冷房の掛かった部屋でコーラでも飲んでれば良いんです。

最後に彼は、「真面目はいいけれど、真面目すぎると疲れちゃうよ・・」と言っています。 この人、団塊の世代の割には忍耐力無いですね。
やりたくない人は勝手にダラダラやってればいい。
しかし、正しいベクトルに努力してる人を「無駄だぞ、間違ってるぞ」と否定することは大きな間違いである。
・・・だって、「無駄」じゃ無いんだから。
「温暖化対策としてのCO2削減」は、100年後といわず、20年後くらいには感謝されるであろう、技術革新を促す政策とその努力なのだから。

まるで武田邦彦は、アリを笑うキリギリスのようだ。
いいよ、お前の子孫は俺たちが守ってやるよ。・・・だから邪魔するな。

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コメント

> CO2濃度というのは、CO2排出が止まった後もずっと、そのままの状態が続いていくんです。

> CO2排出が止まった後になっても、数百年は少なくとも続いていくものなんです。

根拠は?

投稿: Mon | 2008年9月23日 (火) 00:30

>>Monさん

「そのままの状態」というのがご理解いただけないのでしょうか。普通にみなさんイメージできると思って端折りましたが。

簡単に言うなら
「CO2濃度はそう簡単に元には戻らない。100年単位の時間を掛けて280ppmまたは現在の380ppmまで戻っていく。」
ということです。
ま、完全に元通りには戻らないかもしれないですけどね。
大自然の循環の中で、木々や海の生物などがCO2を徐々に吸収して時間を掛けて、今現在の濃度まで下げていく事になります。

「根拠」とかそういうものではありません。「科学」です。
例えば100年後の世界、温暖化の影響で最悪の気候状態な地球において、石油枯渇によりCO2排出が止まったとして、その直後から地球温暖化の影響が消える事はありません。100年後の世界のCO2濃度は600~1550ppmにまで達していると予測されています(IPCCより)。それがCO2完全停止した翌日から急に280ppmに戻るなんて事はありません。
600~1550ppmという数値は、数百年を掛けて徐々に下がっていくものです。

またCO2濃度だけでなく、地球の熱量が引くのにもCO2濃度程じゃないにしろ、有る程度の時間が掛かります。現在、地球温暖化による熱の影響は海底3000mにまで到達しています。大気の温度上昇が海水を暖め、それが3000mの深さにまで達したわけです。熱には熱伝導率というものが有り、例えば水は「熱しにくく冷めにくい」の代表格です。海水温の影響だけでも、CO2濃度に遅れること数十年の時差をおいて元に戻るでしょう。

投稿: Snow(ブログ主) | 2008年9月23日 (火) 02:39

いやだから、その「数百年を掛けて徐々に下がっていくものです」というのは、どこから出てくるの?
・・・ということを訊いた訳。
いまだにその根拠が書かれていない訳だが。

「~なんて事はありません。」
「~下がっていくものです。」
それはあなたの主張なんだろうけど、裏づけの理論なり実証データが同時に示されていないと、全く説得力ないよ。単に決め付けているだけにしか見えなくても不思議は無い。

> 「根拠」とかそういうものではありません。「科学」です。

根拠も示さず断定するのが科学なの?
あなたが何の根拠も無く主張しているとは初めから思っていないが、記事本文には根拠となるようなことは何も書かれていなかった。示唆さえもされていなかった。
そういう態度は科学的ではないということ。
そこを突っ込まれてから書くようでは遅いんだよ。

投稿: Mon | 2008年9月23日 (火) 23:51

>Monさん

そうですね。
根拠を提示していないことで信用度が薄れるなら私の言うことは信用しない方がいいでしょう。
貴方は「ソース準拠」な人なのでしょうか。でしたらそのような思いも理解できます。配慮が足りず申しわけありません。私のコメントだけで根拠を理解してくれるものと思ってしまったもので・・・。ソースのリンク也が欲しかったのですね。

一言レスポンスなコメントだったし、真剣な意見には思えなかったので具体的なものは面倒だったので示しませんでしたが・・・。

徐々にCO2が減っていくであろうその根拠を、本文にて明確に示さなかったのは、100年後に例えば1000ppmに成ったとして、そこからの推移をシミュレーションしたデータを私は見つけられなかったからです。強い突込みが入るのであれば面倒を押して提示します。
一般に示されている国際的なデータとしては、IPCCの予測がこの例を示唆しています。
http://www.ipcc.ch/pdf/assessment-report/ar4/wg1/ar4-wg1-spm.pdf
例えば、上記IPCC四次報告の「Figure SPM.5」とその周辺の文章です
温室効果ガスの濃度を一定にするラインのオレンジ色を見たとき、このグラフから今回の例が示唆されることが多分にあります。
または本文参照。
ちなみにIPCCの上記予測は温度が上昇していますが、これは過去における温室効果ガスの影響がその後も影響し続けるというIPCCの予測を示しています。

100年後の特定条件でこれ以上のシミュレーションデータが欲しい場合は独自にスーパーコンピュータで計算しないと駄目でしょう。 ま、結果が「Figure SPM.5」と同じように成ることが断定できるので、スパコンを使う価値のない研究に成ってしまいますけど。

というか、貴方は「じっとしていれば直ぐに濃度は280ppm程度に戻る」とお考えなのですか? むしろその予測の根拠が欲しいです。 森林などによる自然の治癒能力のデータで特出するものをお持ちなのですか? もし持ているのであれば、IPCCに提出してみてはいかがでしょう。

投稿: Snow(ブログ主) | 2008年9月24日 (水) 00:30

ノーコメントということで、今回の説明と本文への引用追加で納得いただいたと解釈いたします。
Monさんのご指摘のお陰で、このページもより充実させる事が出来ました。ありがとうございます。

投稿: Snow(ブログ主) | 2008年9月27日 (土) 09:15

まだいまだにCO2が原因で温暖化だといっているおバカがいますがこの地球温暖化の真の原因はまだわかっていないのです
バカマスゴミが余計な宣伝をしたおかげで企業は削減の方向へ走っていますが大きな過ちです
削減した結果、地球の気候が極端に変化してしまいました。つまり寒冷期へと移行してしまいました。
寒冷期になれば、大事な食糧が確保できません。
これは食糧マフィア(食料の買い占め企業)の策略だったのかもですね。

今更ながら、CO2の削減をやめるべきです
もう完全に手遅れですけれど・・・・

投稿: いまだに | 2014年7月 5日 (土) 12:36

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