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2008年7月 3日 (木)

スピード社水着の秘密が判明!

NHKクローズアップ現代、昨日の放送にて、スピード社製の「レーザーレーサー」の秘密について解説していた。
今まで疑問に思っていた事、「速さ」、「浮力感」の謎が全て解消された感があります。


かつて数ヶ月前、日本中でレーザーレーサー旋風が吹き荒れた時、レーザーレーサーの速さの秘密について各所であらゆる事が言われていた。
「速さは気泡による浮力?」(元開発担当者)、などと言っている専門家もいれば、「サメ肌以上の素材技術と締め付け効果による抵抗低減」などと言う専門家もいた。特に「断面積の縮小」についてはよく言われていた。

しかし、どうやら科学はそれを否定したようだ。
気泡などの浮力を利用したものでもなければ、素材技術でも、締め付けによる体積変化でも、断面積の縮小でもなかった。
スピード社製レーザーレーサーの速さの秘密は、「体を細くする事」ではなかった。
重要なのは、「体のデコボコを無くすこと」と、「体の形状、姿勢矯正」だった。
Lr_010_1
特に、「胸、腹、股」の部分に伸縮性の無い生地を使うことで、体の前面がデコボコにならないように設計されている。

Lr_020_1  Lr_030_1

「浮力感」に関しては、これは下半身が上がる事で得られる感覚なのだろうと考えられる。

そして水の抵抗に関して。
従来の水着の姿勢というのは、航空機の主翼で考えれば着陸時の羽の形状となっている。
そしてレーザーレーサーの場合は、巡航時の羽の形状のようである。
この差は見た目にも歴然であり、いかにもな水圧抵抗の低さが理解できる。


このレーザーレーサーの姿勢の利点は、経験上でもよく解かる。
小学生の頃、水泳を教わる時に先生からよく言われた言葉、
 「頭を下げろ」、「耳を肩に入れろ」
そしてそれを実行した時、腰の高さが上がり体全体が均等に浮くように成る。
その姿勢がキーと成って、水泳の得意、不得意が生まれてくる。
下半身が浮くということは、水泳が上手くなるということと同じである。
レーザーレーサーでは、身体の努力では成し得ない程の姿勢を作り上げて、それをスピードに結び付けている。

余談だが、カナヅチである人の殆んどは、耳を水の中に入れることを怖がっている人であると考えている。
頭を下に向けることが出来ない人。
例えば耳に水が入ったことによって中耳炎になった経験など。そしてその恐怖に打ち勝てない人
水泳を教える先生がそのへんを考慮して教えることができれば、水泳の落ちコボレが減るのではないか・・・と私は考える。例えば、そういう生徒(児童)には耳栓を使ってみるとか。

 

レーザーレーサーの登場で、ミズノ、アシックス、デサントは、水着の改良を余儀なくされた。
そしてもう一社、この件にて有名に成った会社がある。
「山本化学工業」だ。

 ■山本化学の水着の特徴
   ・表面に水分子が入り込みやすいので、水の抵抗をほとんど受けない。
    素材に目新しさがないというレーザーレーサーとそこが違う。
   ・従来の水着のように全体的に伸縮性がある。


そして以下が、既存の3社が行なった改良後の水着の特徴。

 ■ミズノの新水着
   ・スピード社の製品を参考にしながら製作。
   ・体型補正による形状抵抗の削減。
    水着全体の締めつけ度を上げ圧力を高めることで水中抵抗を軽減。
   ・水中での軽量感に配慮したもの。

 ■アシックスの新水着
   ・素材のタイプは2種類
    自社製「ハイドロLA」タイプ
    山本化学工業製「バイオラバースイム」タイプ
   ・骨盤回りを安定させる理論をさらに強化。
    脚部に固定力と復元力の高い新素材を使用し、高いキック力を得る。

 ■デサントの新水着
   ・スピード社の水着を参考に従来製品との違いを検証。締め付け感が強い。
   ・織物の使用による軽量化とウレタンフィルムによる揚力感が特徴。
   ・一部のタイプに、山本化学工業製の素材を使用。


世間の多くは、「山本化学の素材を使え、なんて使わないんだ」と叫んでいる。しかし、私はそれは間違った認識なのだと考えていた。そして今回の「クローズアップ現代」をみた後、それは核心へと変わった。

競泳界の流れが変わったのだ。
「表面処理」による抵抗低減の時代から、「姿勢矯正」による抵抗低減の時代へと。
山本化学の誇る表面処理技術は、既に一世代前の技術となってしまったわけだ。

ミズノは改良水着に山本化学の素材を使用しなかった。
そして、アシックス、デサントは、一部のタイプのそのまた一部にしか山本化学の素材を使わなかった。
申しわけ程度と言った感じ。
世間一般が騒いでるから一応使っておこうといった感じだろうか。
しかし、この3社のメインな考え方は、既にスピード社と同じ概念で動いており、つまりは「締め付けによる姿勢矯正」の流れを重視した設計を意識したものとなった。

今さらだが、さすが老舗の3社だ。
競泳界の流れの本筋は外さない。
無責任な世論に流されない姿勢はさすがだ。
多分、3社はそれぞれにレーザーレーサーの速さの謎について、以前からかなりの部分まで研究して理解していたのだろう。レーザーレーサーの秘密を理解しながらも、「競泳ルールにそぐわないのでは?」ということで、同等の水着開発を行わなかったという経緯が有る。

 

今回、レーザーレーサーのメカニズムが明らかになってきたわけだが、競泳界にとってこれは革命的な事件であり、この物議は始まったばかりといえる。

つまり、今までは身体を鍛える事、練習を重ねる事で姿勢を矯正してきた訳だが、姿勢矯正水着を着ることで、その技術努力が必要なくなることに成る。そして、「努力だけでは到達できない理想的な姿勢」を競泳界は手に入れる事になる。
これは果たして身体能力の発展といえるのだろうか。このような「道具」による世界新記録を認めていいのだろうか。
考え方の問題は依然残る。

しかし、こうも考えられるとNHK解説員は述べている。
「陸上では高反発トラックで記録が伸びている。体操でも高反発なマットを使用するようになり競技の面白さが増した。」
なるほど、スピードスケートでも、「高速リンク」や「スラップスケート」など、道具の改良によってタイムは一気に向上した。
そして、スラップスケートに至っては、「刃を戻す為にスプリングが使われていることから、このスプリングが加速力の助けになる可能性も有る」と問題視もされた。

水泳も同じ道をたどっているだけに過ぎないのかもしれない。
競泳界は、現在の技術が人間の限界付近であると、認めたってことなのかもしれない。
そして今回の水着革命を機に、新たなステージによって競泳界は活性化を狙っているのかもしれない。

ま、それはそれでいいのかな・・・とも思えてくる。
それに、レーザーレーサーという水着、「姿勢矯正」を行わないで泳ぐ訓練を行なったうえでしか能力を発揮できないような気もする。
競泳界にとって、身体の技術的なレベルの低下はそれほど無いのでは・・・とも感じる。

やはりこれは、技術革新の流れに任せて、競技世界の変化を楽しみながら受け入れていくことが正解なのかもしれない。

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